30年越しの夢、ハゼ天丼をついに食ったぞ
僕が長年に渡って、どうしても一度食べてみたいと願いながら、これまでついぞ機会がなかった食べ物に、ハゼのてんぷらがある。
はぜのてんぷらに対する、僕のやみがたい憧れには、32年ほど前の原体験がある。
たしか敬老の日の前後だったと思う。文京区内の釣りの愛好会が、区内に住むお年寄りたち数十人を公民館だか集会所だかに招待して、自分たちが釣った江戸前のハゼをてんぷらにして、敬老プレゼントとしてふるまったのである。
僕はその様子を、カメラを手にして取材に行ったのだ。
お年寄りたちの前に、お膳で供された揚げたてのハゼは、一人5匹くらいあっただろうか。美味しそうなにおいが、会場いっばいにただよい、ご飯と味噌汁もまた熱々で湯気を立てていた。
ちょうど昼食時。僕もまだお昼を食べていなくて、お腹はペコペコだった。
この時ほど、僕もハゼを食べたいと切望したことはない。しかし、僕は仕事で取材に来ている身である。たとえお金を払っても決して食べることの出来ない立場なのだ。
あれから30年余。ときたま、テレビのニュースで、ハゼ釣り船で釣りたてのハゼをてんぷらにして釣り客たちが食べている映像などを見ると、うらやましさで気も狂わんばかりになった。
漁港近くの食堂などを訪れれば、ハゼのてんぷらを食べることは可能なのかも知れない。
しかし、東京のど真ん中では、どこへ行けば食べられるだろうか。それも出来れば、ハゼを天丼で食べてみたいのだ。
最近、街を歩いていて、てんぷら屋の店先に「はぜ」という貼り紙があるのを見た。
ネットで調べてみると、いくつかの店がこの季節のネタとしてハゼを扱っていて、お好みで1匹650円から750円くらいだ。
天丼は出来るのだろうか。某店に電話して聞いてみたら、ハゼ1匹だけを使った天丼は1450円で出来るという。ハゼの数が増えたり、野菜が入ったりすると、それなりに予算は高くなっていく。
ハゼ1匹の天丼では悲しいなあ。かといって、3匹も天丼にすれば、3000円近くになりそうな感じだ。
僕はこの3週間というもの、どうすべきか悩みに悩み、ネットでてんぷら屋のサイトを見てはため息をつく日々が続いた。
そして、ついに今日、一つの店に毅然として入る決心をしたのである。(店の名前は、写真をよく見ればヒントがあるかも)
お昼の開店と同時に店に入り、気さくそうなおやじさんに、「ハゼを天丼にして食べたいのだけど、予算はどのくらいで出来ますか」と尋ねてみた。
「1200円で出来ますよ」と、こともなげに言う。ええっ。ほんとに!? 驚きと興奮に打ち震えながら、ただちにそれを注文する。
おお、ほどなく、運ばれてきたではないか。これが夢にまで見た幻のハゼ天丼じゃあ。
なんと、ハゼは5匹も入っていて、ほかに、シシトウ2本とカボチャ、ナスが入っている。赤出汁とお新香がついて、この値段とは!!!!
うめーっ。めちゃウマ。ばかウマ。やばウマ。鬼ウマである。
ああ、健康で生きていれば、こんないいこともある。
人生のしあわせとは、こういうことなのだ。現生には、地獄もあるが、ときにはこのような極楽もある。
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コメント
ハゲ天小田急ハルク店ですが、残念なことに去年1月末をもって閉店してしまいました。
投稿: BANYUU | 2011/11/10 23:16
よろしければ、お店の名前教えてください。
投稿: 和田 聡 | 2011/11/10 19:35