朝日、読売などの号外で振り返る2008年 その3
9月1日 北京五輪の余韻がさめやらぬ中、福田首相はこの夜、突然の辞任を表明して列島に激震が走った。安倍元首相に次ぐ2代続けての政権投げ出しに、国民は唖然、呆然。福田首相が辞任会見の最後に、質問した記者に答えた「あなたとは違うんです」は、2008年流行語大賞トップ10入り。福田前首相は「誠に光栄ですが、受賞は辞退いたします。花深く咲く処、行跡なし」とコメントしたのみ。
9月22日 福田辞任を受けて行なわれた自民党総裁選で、麻生太郎幹事長が総裁に選出。「総選挙の顔」として党内の期待を担って誕生した麻生政権だが、何をどう勘違いしたのか、解散・総選挙からひたすら逃げ回るのみで、内閣支持率はたちまち急降下。12月に入ってからの内閣支持率は、読売、毎日で21%、朝日で22%と1月前の半分以下に落ちて、早くも政権末期症状の様相に。
10月7日 日本の政治がモタついている間に、アメリカのサブプライム問題に端を発した世界的な金融危機は深刻さを増し、ついには大恐慌以来といわれる世界同時不況に突入。日経平均株価は1万円を割り込み、その後も暴落が続いて、一時はバブル崩壊後の最安値を更新した。金融危機は実体経済にも壊滅的な影響を及ぼしてきており、日本でも容赦ない派遣切りや正社員のリストラなど、雇用の崩壊が始まった。
10月7日 今年のノーベル物理学賞に、米シカゴ大名誉教授の南部陽一郎氏(アメリカ国籍)、高エネルギー加速器研究機構名誉教授の小林誠氏、京都大名誉教授・京都産業大教授の益川敏英氏が決定。日本人のノーベル賞受賞は2002年以来。「自発的対称性の破れの発見」など、なんのことやら分からない言葉が紙面を飾るが、益川さんが「アイ・キャンノット・スピーク・イングリッシュ」と堂々と述べたことに、ホッと胸をなでおろしている人たちも多いのでは。
10月8日 前日の物理学賞に続いて、こんどはノーベル化学賞に米ウッズホール海洋生物学研究所・元上席研究員の下村脩氏が決定。オワンクラゲの青く光る仕組みを解明して緑色蛍光蛋白質GFPを発見し、人間の細胞内に組み込んで動きを観察できるなど、世界中で医学などの分野で応用されている。下村氏が研究のために捕獲したオワンクラゲは80万匹にものぼり、このクラゲの美しい発光の様子は水族館などでも見ることが出来て、一躍、人気のクラゲとして脚光を浴びている。
10月11日 ミウラカズヨシと聞いて、サッカーのカズこと三浦知良しか知らなかった人は、平成生まれ? ロス疑惑をめぐってサイパンで拘束されていた元会社社長の三浦和義容疑者が、ロサンゼルスに移送された直後に、ロス市警の拘置施設内で自殺した。27年前の「疑惑の銃弾」をめぐってセンセーショナルな関心を呼んだ事件は、真相が解明されないまま、すっきりしない幕切れとなった。
11月5日 4年に一度となる米大統領選は4日、全米各州で投票が行なわれ、民主党のオバマ氏が共和党のマケイン氏を大差で破って当選。就任式は2009年1月20日で、史上初のアフリカ系(黒人)大統領が誕生する。オバマ氏当選の最大の功労者は、ブッシュ大統領にほかならないという声も多く、オバマ新大統領は、イラク戦争やアフガン戦争、未曾有の経済危機など、ブッシュ政権が残した重い負の遺産を背負ってスタートする。
今年の号外は、これにて打ち止めとなるだろうか。あと20日の間に、まさかの号外が出ることはないでしょうね。麻生さん、あなたに聞いているんですよ。
みなさんにとって2008年はどんな年だったでしょうか。
ちょっと気が早いけれども、新しい年2009年が、みなさまにとって良いお年でありますように。
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