GW中も、尾崎翠の世界にどっぷりと
今年のGWは、尾崎翠の世界にどっぷりと浸り、どこまで行っても果てのないような尾崎翠の宇宙を浮遊している。
前回の記事の後、僕はついに『定本 尾崎翠全集上下』(1998年、筑摩書房)をネットで購入した。
現在は絶版になっている全集だが、ネットの古書店で箱入りオビ付きの美本を見つけ、ようやく手にすることが出来た。(写真)
オビに書かれた中野翠さんの言葉は、「尾崎翠は取り憑く。心を奪う。魂を魅入らせる。それも晴朗な空のように」。
この素晴らしい装丁の全集を見るにつけ、尾崎翠が生きている時にこれが刊行出来ていたら、どんなにか彼女は嬉しかっただろうか、と思ってみたりする。
さらに、前回の記事に記した後、僕は引き続きさらに尾崎翠の研究書を探し求め、以下の本を入手して(写真)集中的に読んでいる。
『尾崎翠の感覚世界』(加藤幸子 創樹社、1990年)
『尾崎翠』(群ようこ 文春文庫、1998年)
『鳩よ! 特集尾崎翠 モダン少女の宇宙と幻想』(マガジンハウス、1999年)
『尾崎翠論 尾崎翠の戦略としての「妹」について』(塚本靖代 現代文芸社、2006年)
まだまだほかにも尾崎翠研究本は出ているようだが、昔の本ほど入手が難しくなっている。
尾崎翠研究は、このところ女性からの解析や問題提起が相次いでいて、それぞれ独自の視点からの丁寧な掘り下げは読み応えがある。
群ようこさんは巻末にこう書いている。
--私は「第七官界彷徨」を読んで、日本の小説はこの一作でいいとすら思ったこともある。
僕もそうだが、同じようなことを思った人たちは多いのだろうな、という気がする。
こうした解説本・研究本によって、尾崎翠ワールドの不思議な魅力の根源が、さつざまな角度から解明されてきてはいるが、研究が進めば進むほどに、解明が進めば進むほどに、尾崎翠とその文学世界はますます底知れぬほどの広がりと奥行きの深さを見せてきているように思う。
尾崎翠研究、とりわけ『第七官界彷徨』についての研究と解析は、これからもさまざまな人たちによって続けられていくのではないだろうか。
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