自宅栽培の西瓜、熟し過ぎなれど食らふ
余が自宅にて栽培したりし鉢植ゑの西瓜は、直径十せんちめえとるほどなりし実が、ちかごろの猛暑にて日に日に膨らみ、そろそろ食べごろならむやと、心待ちにしたりき。
ところが今朝見たれば、いでや西瓜の実は熟れすぎて自づから弾け裂けたるではなしや。
驚き慌てて、鉢植ゑから実をもぎ取り、子細に見てみると亀裂は一面にわたりたりて、あたかも浜辺での西瓜割りにて叩かれし直後のさまのごとし。はたまた、西瓜にて作りし化け物の如くにも見ゆ。
虫が中に入りたりなからむか、腐りたらざらむか、とあれこれ思案しつつも、ともかくらっぷに包みて冷蔵庫に入れき。
とばかり経ちて、冷蔵庫より取り出すと、西瓜はほどよく冷えたり。
皿の上に置きて、亀裂に沿ひて手にて割りてみると、中心に近きところはほとんど熟し過ぎの状態にて、どろどろに溶けにたり。
されど、やや外側の皮に近きところは、未だ溶けるには至らず、食べられむとぞ思ふ。
すぷーんにてすくひて口に入ると、甘かりて美味し。さくさくと、やがて可食部分をひとへに食べに食べ尽くせり。
自宅にて栽培せし鉢植ゑの西瓜の味は、こよなくありき。
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