中央線高架の側面に、不思議の壁画現はる
ここ数日、東京は真夏日から解放されゐたるが、今日は灼熱の炎天戻りにけり。
新宿から大久保に至る中央線の高架側面に、くすしき大壁画、俄かに現はれたりけり(写真)。しばし暑さを忘れて見とれざること能はず。
やうやうなる建物の影の、橙色や灰色にて延々と連なれる様、いみじうシュールにて幻想的なり。
影の下に翠色にてあるは、樹木あるひは草木なるや。
上方には青色にて、人の顔を模りたるあやしき形、記号のやふなる模様などのイラスト、これまた延々と連なれり。
影を主役とせるこの大壁画の上に、午後の日差しによる本物の電柱の影の重なりて、いよいよ虚実混じり合ふ不思議の光景とはなりぬ。
この壁画を描きしはいかなる人々なるや。何の説明文も書かれざりしが、かへって見る者をして自由なる空想に誘へり。
人間たちの、壁画の中なる影の街に住めるあらば、余らのうつつの街こそ、影の街と映れるならめ。
影がまことの世界なれば、うつつの世界ぞまた影なる。いずれか異なるところあらむや。
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