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2010/02/02

デパ地下のさらに下なるハゲ天、閉店せり

新宿なるデパ地下の、地下2階よりさらに2つの階段を下れるに、ひそやかに営みたるてんぷら屋あり。

1002022aこれなむ知る人ぞ知るハゲ天小田急ハルク店なる。

エレベーターなく、エスカレーターだに通らずして、地下2階から徒歩にて下がり上りする他のなければ、こは文字通りの穴場なりたり。

余は、この店にて一昨年秋、ハゼ天丼のメニューになきを食ひたしと思ひて、おやじさんに頼みたれば、快くハゼの5尾乗りたる天丼つくりて、1200円にて賄ひたまはれり。

その後も、サヨリ天丼、キス天丼などメニューにはなきを、余の求むるままに作りあづかれること、あまたたびあり。

店内は、いみじう長きに渡りて改装も施されざる様にて、壁、天井などくすみて、レトロなる雰囲気この上なし。

100202a_2この店、一昨日、閉店となりたり。

降りたるシャッターに、感謝の貼り紙あり。

「お客さまの笑顔と歓びが生き甲斐なりつるに、口惜しながら諸般の事情にて暖簾を降ろすことと致し候ふ」由見るに、いとあはれなり。

この店の開店しけるは、昭和41年とぞ。余のまだ学生のころなるを。

「四三年間の長きに亘り」の文字こそ、店長ら従業員らのまことの感慨ならめ。

ハゼ天丼食らふことの、もはや能はずなりて、余のわびしさもひとしきりなり。

さらば、ハゲ天小田急店。

定めなきは、げに世の習ひなるかな。

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