12年間探し求めたるシャヴァンヌ画集を入手
いとどいみじう久しく探し求むれど、さらさらに見つけることの能はざる物あり。
余にとりて、その最たるもの、シャヴァンヌの画集なりたりけり。
ピエール・ピュヴィス・ド・シャヴァンヌ(Pierre Puvis de Chavannes 1865-1918)ぞ、その画家なる。
初めてパリのオルセー美術館を訪れし時、あまたの名画・名作の燦然と居並ぶ中に、ひときは余の心に残りたる一連の絵画あり。
いずれも、余の目にしたりけることなき絵画にて、オルセー1階右側なる幾部屋かのスペースに、10点ほどが展示されてあり。
こがシャヴァンヌの作品とは、初めて知りぬ。
淡き色彩、静謐にて幻想的なる雰囲気、なでか遠き夢に見しことあるやうなる、懐かしき光景。
余は時の経つも覚えず、シャヴァンヌのコーナーにくぎづけとなりて佇みぬ。
この時より、余は大きなる書店に寄るたび、シャヴァンヌの画集しもあるにや、と探しありきたりけり。
シャヴァンヌの絵の何点か収められたる画集はあれど、シャヴァンヌのみにて1冊をなす画集は見つからず。
ネットにても調ぶれど、そも日本で発売されたりける形跡、見当らず。
かくて12年の歳月の過ぎ往きて、ほとほと諦めかけ居りたるに、このほどやうやう、海外にて刊行されたりけるシャヴァンヌ画集を見つけ、げに運良くもゲットするを得たり。
いでや、この画集には、素描も含めてシャヴァンヌの作品約150点なむ収められたる。
我が国にては、いまなほ印象派人気の圧倒的なるに、シャヴァンヌはマネらと同時代ながら、作風は印象派とも写実主義とも異なりて、象徴主義と位置づけられたるとぞ。
象徴主義は音楽におきては、ドビュッシーに多大なる影響を与へたりけるとされており、かく言はれてみれば、シャヴァンヌ画集を括りてみやるほどに、「牧神の午後への前奏曲」なんどの、遥か彼方にて鳴るを聴きたるがごとき心地こそしたれ。
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