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2010/06/01

ひとり立ちぐひ蕎麦食らひて、爽やかなる初夏

100601aいつしか時は6月になりぬ。

けふは爽やかなる初夏の風心地よきも、ほど経ずして梅雨の季節の到来すべきを思へば、いかで憂からずや。

世が世ならば、けふあたりスーツケースぞ集配に出して、明日は成田に前泊せむとて、あさて早朝には欧州に向けて飛び立つべかりつるものを。

旅行の断念せしによりて、すべては砂上の楼閣の如く、幻の旅と帰せり。

このところ、余はとんと外食せぬやうなりたりけるは、前にも書きたるが、先月を振り返ればレストランに行きたるは2回のみなり。

その2回なむ、立ち食ひ蕎麦なる。

ほうれん草蕎麦に温泉卵入れたる、430円也。こを2回食らひたるぞ、余の先月のレストランの全てなりける。

立ち食ひ蕎麦屋には、などてか演歌のBGM流れ続けたりて、侘しきムードひとしほなり。

されど、近年の立ち食ひ蕎麦は、店にもよりたるなれど、麺も汁も、その味ひたぶるにうまくなりて、侮り難きことげにいみじかり。

高級ビストロなんどのやうに、高き値段にて美味なるもの食はせる店、星の数ほどあれど、安価にて美味なるはえ見つけ難し。

この世に最も美味なる料理はなんぞや、と問はれたれば、余は躊躇なくいらふ。

そは、食ひたき時に食らふ立ち食ひ蕎麦にこそあなれ。

演歌の流るる中、ひとり静かに、ゆくらかに味はふ立ち食ひ蕎麦なむ、ミシュランの三ツ星もえ及ばぬ至福の味なるぞかし。

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