今年もまた新宿に、背高き白怪人現はる
けふは、秋の恒例行事とて定着せる新宿芸術天国の日なるに、朝のうちの雨も上がりて、大道芸の繰り広げらるる午後からは、薄日も射したり。
新宿通りには、人垣の輪の、をちこちに、あまた広ごりて、輪の中にては、なにやらん、パフォーマンスの行なはるる気配なれど、人だかりに遮られて、え見えず。
さるに、人人のいみじうどよめく方を見れば、身の丈3メートルもの白塗りの怪人の、今年もまた現はれたるぞかし。
見えにくき大道芸ばかりなる中、この怪人のパフォーマンスなむ、自ら大股にて通りを闊歩して移動してゆけば、目立つこと、このうへなかりける。
見物客いみじう喜び沸きて、ケータイのカメラぞ一身に向けらるる。
思ふに、この怪人、竹馬のやうなるもの、足にしかと繋げたるにや。
この姿にて颯爽とありき回り、あまつさへ長きコンパスにて走りもするは、なのめならぬ訓練の必要なるらむ。
仮面かぶりたるによりて、表情の眉一つ動かすことなく、また一声の発することだになきこそ、怪しさのひときは増さりて、つきづきしけれ。
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