花園神社の酉の市ぞ、異次元の世界なる
けふは立冬にして、一の酉なるとぞ。
小春日和の日曜日とて、ひとびとの流れ、花園神社の酉の市のあたりへと、いみじう流れゆけり。
余もすずろに人の流れに和して、花園神社に向かふ。
靖国通りから、あまたの露店居並ぶを眺めつつ、境内に入れば、そこは異次元の空気に満ち、時の止まれる異世界なり。
酉の市を訪れたるは久方ぶりなると思ひきや、まことは、四年も昔のことなるぞかし。
その時に見し光景の、つゆ変はらぬまま在りけるになむ、デジャ・ヴュの如き心地する。
「一方通行入口」と書かれたる大きなる看板こそ、ひときは不思議なりけれ。
いづこから、いづこへの一方通行なるにや。
うつつから夢の世界へ、日常から非日常へ、ケからハレへの一方通行かとぞ。
いでや、看板が逆さまなりと、たれか確信を持ちて云ひ切るる。
逆さまなるは、看板以外の方なりて、赤き鳥居も樹木も露店も、道も参拝客も、空すらも逆さまなるにや。
われらは皆、球体の地球の表面に、からうじて張り付きて生きたる存在なり。
上下や逆さまなんどの概念なむ、こはなべて相対的なる。
酉の市の異次元空間にては、看板を正しき基準となし、すべてを逆さまワールドとして楽しむもまた趣にこそ。
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