絶好のお花見日和ところにより放射能
けふは、東京の桜の満開となりてより初の日曜日にして、好天かつ温暖、昨日の土曜日は雨がちなりけるに、新宿御苑には花見を待ち兼ねたる人人、どうと押し寄せたり。
上野公園など都内の桜の名所、おしなべて大震災による自粛呼びかけたりて、ぼんぼりもなき様なれば、花の下にての宴、繰り広ぐること能はず。
新宿御苑は、上野などの代りに宴会催すグループもぞとて、入場門や苑内のいたるところに、「アルコールの持ち込み禁止なるぞかし」との看板連ね、入場客一人一人の手荷物開けさせて、酒なんどの持ち込みのなきやう厳重なるチェックなむしたる。
厳しきアルコールチェックのなせるにや、歌舞音曲かきたてて騒ぐグループもなく、みな静やかにつつましく、花の短き盛りを粛粛と満喫せる様子なり。
被災地の人人を案じつつも、ときおり風に吹かれて花吹雪舞ふ、満開の桜の間をすずろ歩きするは、これぞ日本の原風景なるらむと感じ入れる。
かくするうちにも、大気中の放射性物質、国の基準値以下とは云へ、漂ひ漂ひて花見客に注ぎかかるらむ。
「ただちに健康への影響はあらず」とは、このところ耳にたこが出来るほど聞かされたる常套句なるに、ただちににはあらぬものの行く末には如何や、との問ひには明確なる答への返り来ることなし。
我らの放射性物質との長き長き付き合ひは、まだ始まりたるばかりにて、今後、数箇月から数年に渡る超長期戦も覚悟すべしとこそ。
月やあらぬ 春や昔の春ならぬ 我が身一つは もとの身にして 業平
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