余は歯の磨き過ぎ、電動歯ブラシ止めよと指導さる
10年ほど前まで、余は電動歯ブラシに見向きもせず、ひたすら手動歯ブラシのみにて磨きたりけり。
さるを、手動にて左右に小刻みに歯ブラシ動かして磨き続くること、あまりに時間と労力の費やしたれば、ある時点より電動歯ブラシ使ふやうになりき。
手動にて7、8分かかる歯磨きも、電動にては3分ほどに短縮されたり。
しかるに、いつのころからにや、歯の定期検査ごとに、「汝は、磨き残し多し。心して丁寧に磨くべし」とぞ云はるる。
余は、電動のみにては限界のあるらむと思ひ、電動で一度磨きたるうへに、さらに手動歯ブラシにて、念入りに磨くことにしたり。
このほかに、検査ごとに云はるる歯科医や衛生士のアドバイズ、つぎつぎと忠実に守りゆくうち、フロス使ひ、MとSSの両サイズの歯間ブラシにて表と裏から念入りに磨き、デンタルリンスも毎回用いるなんど、歯磨きに用ひる道具類、膨らみに膨らめる。
気がつけば、1回の歯磨きに要する時間、20分から25分にもなれるは。
そを1日3回なれば、毎日1時間から1時間15分も歯磨きに専念したりて、生くるために歯を磨くにや、歯を磨くために生くるにや、おぼろげになりぬ。
けふ、歯のクリーニングに歯科医に行きたれば、衛生士の云ふやう。
「汝の歯、ひたぶるに磨き過ぎなるぞ。歯茎の露出したるをはじめ、歯をいみじう損なひつるなり。いかやうなる磨き方したるらむや」てふ。
かくかくと説明するに、衛生士のいはく、これよりは電動歯ブラシ止めて、手動のみにすべし、とぞ。
さらに歯間ブラシも毎回、MとSSにて表と裏から、念入りに用いるは、行き過ぎなり、と。
磨き残し箇所のあまた存する、てふ指摘に始まれる余の歯磨きのエスカレート、つひに過ぎたるは及ばざるが如し、の結果に終はりぬ。
さらば電動歯ブラシ。
今宵からは、昔のやうに手動歯ブラシ中心に戻りて、簡素で効率的なる歯磨きをこそ、心がけめ。
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