光より速き素粒子用ひて、情報を過去に送れるにや
科学に於ける大発見の、新聞の1面トップとなりけるためし、さほどあまたたびは無かりけむ。
けふの、光よりも速き素粒子発見のニュースなむ、朝日は1面左肩なれど、読売とサンケイは1面トップなる。
質量持つものは光速を超ゆる速さ持つこと能はずてふ、アインシュタインの相対性理論の根幹なす原則に矛盾し、現代物理学を根底から揺るがす可能性孕む衝撃の発見なりとぞ。
こは科学のみならず、哲学、思想はたまた世界とは何かについての思考にも、いみじう大転換を迫ること、必至ならずや。
光より速き粒子の意味せむ最大の深刻さは、因果律を破ることにこそあるらめ。
今回の観測によれば、ジュネーブ郊外から発射されたるニュートリノにとりて、370キロ離れたるイタリアの観測所に到達したるは、発射よりも早き時刻てふことになるらし。
新聞なんどにはタイムマシンの可能性、面白おかしゅう書き立つる記事もあり。
タイムマシンは無理とても、この素粒子を500個か1000個連ねて、モールス信号の如くに簡単なる情報を乗せることなむ、さほど難しくはなからむ。
そこで、地球の赤道を回れるほどの巨大サイクロン構築して、電報並みの短き情報乗せたるニュートリノのビーム、光速をいみじう上回るスピードにてサイクロンの中を周回させむものとす。
情報帯びたるニュートリノは、光速超へつる瞬間に視界からふっと消へゆき、そは過去へ過去へと、ひたぶるに時間を逆流し往くべし。
さて、かやうなる信号乗せて、ニュートリノを発射させむ。
「3ガツ11ニチ、ゴゴ2ジ46フン、ニホンノサンリクオキニテ、マグニチュード9.0ノキョダイジシン、ハッセイス。1000ネンニイチドノ、キョダイツナミ、エンガンヲオソフ。フクシマゲンパツ、バクハツシテ、ホウシャセイブッシツ、タイリョウニカクサンス」
サイクロンの能力の限界まで駆使するによりて、信号の届く日時ぞ、3月11日午後2時30分に設定す。
この信号受けつるとも、巨大地震や津波の発生は防ぐべくもあらず。
されど、津波に因る犠牲者、大幅に少なくすること能ひて、原発の最悪事態は阻止さるる可能性、なからずや。
因果律破るとも、神は目をつぶり給ふらむ。
過去に情報送る「ニュートリノ通信」、善きことのみにてあらずは、世の理ならむ。
戦争や犯罪に利用されなば、その結果の、げに恐ろしとこそ。
早くも、ペンタゴンとアルカイダの双方の、ニュートリノ通信に向け極秘の研究開始す、てふはそらごとにて、ゆめゆめ、まことの話にならずもがな。
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