泣くに泣けず、驚きの安値マツタケは幻なりき
このご時世、庶民にはゆめゆめ手の届かぬマツタケの、スーパーにて100グラム98円と聞けば、小躍りして喜び、何はさて置き、贖ひに走らむこそ、人情なれ。
かくて、売り場に駆けつけたるあまたの客たち、マツタケの籠の前の貼り紙見て、愕然とす。
あなや、松茸100グラム98円は「100グラム980円が正しき表記なり」とぞ。
よりによりて、いかでマツタケの価格を1桁誤れるや。
こは、不注意に由るひがごとなるや、はたまた集客の巧妙なるテクニクなるや。
余がスーパーの店長ならば、広告の誤りの責任を取りて、損失覚悟のうへ、在る限りのマツタケなむ、100グラム98円にて販売決行せむ。
それに先立ちて、在京テレビ各社にファクス送り、「当店、このたび広告におきてマツタケの値段、誤りて1桁安く周知し済みて候ふ。されば、ただいまから、誤れる価格の訂正せむことなく、敢然として100グラム98円にて消費者に売らむと決心し候ふ。貴テレビ局に於かれ候ひては、幻の超安値マツタケの販売の様子、なにとぞ取材されたく候ふ由、ご案内申し上げ候ふなり」と伝ふること、勿論なるぞ。
テレビにて、この様子、放映されなば、「自らの言葉に責任持てる正直スーパー」とて、一躍全国的にクローズアップされ、店の売り上げ、驚異の伸びを見むこと疑ひなからんものを。
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