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2011/10/29

上映初日の『ステキな金縛り』を堪能して来たり

111029余が映画館に足を運びたるは、1年9箇月も前の『アバター』を最後に、久しく途絶へにけり。

さるを、けふは上映初日の『ステキな金縛り』なむ、敢然と観に往きて来たる。

三谷幸喜監督作品の5作目なること、深津絵里と西田敏行の2大スター競演なることのほかに、余が惹かれたるは、タイトルの「金縛り」なりけるは。

たれしも、若き頃は金縛りの経験持つものなるてふに、余も10代から20代にかけて、ことのほか、頻繁に金縛りに遭ひたりき。

いみじう立て続けに金縛りに陥りたるは、高校の頃にて、寝入りばなの直後、もしくは目覚めむとする前にて、意識は覚醒したるに、体全体の痺れたるやうなる感覚に襲はれて、微とも動くこと能はず。

いかにせむとも、その状態から抜け出さずんば、心臓すら停止するにや、と恐怖に駆られ、せめて指の先なりとも動かさむ、と徒にもがきたりけり。

ひたぶるに強き金縛りに遭ひたるは、なでかアメリカ産の干し葡萄食らひたる日に多かりき。

こは、葡萄粒ぞ薬品のたぐひに漬けて、乾燥状態に施したるにや、と疑ひて、そののちは、干し葡萄食はぬやうになりけり。

さても、30代ころまでは、不意に金縛りに遭ひたること、ときおりありしが、歳を重ねたれば、金縛りそのものも、いつしか経験せぬやうになりぬ。

映画の金縛りは、落ち武者の幽霊なむ、一晩中、宿に泊まりたる男の上に跨りて、その男、動くこと能はざりけり、てふことから話の始まれり。

男、殺人事件の犯人とされて、無実を証明出来る者、落ち武者の幽霊のみなるとぞ。

最近はほとど映画観ざる余も、三谷監督作品の映画なむ、『ラジヲの時間』、『みんなのいえ』、『THE 有頂天ホテル』、『ザ・マジックアワー』なんどと観たりける。

今回の『ステキな金縛り』、これまでの最高傑作にして、まがふことなく三谷ワールドの真骨頂ならむ。

西田敏行の幽霊の面白さもさることながら、女弁護士として法廷で幽霊を証人に立て、被告の無実を訴へ続くる深津絵里の素晴らしさは、特筆ものなるべしとこそ。

映画不精となりたる余も、上映中にあと2回は観てみたしと覚ゆる傑作なるぞかし。

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