朝日新聞号外にて振り返る2011年 その1
今年も残すは20日余りとなれり。このブログの恒例なる「朝日新聞号外にて振り返る2011年」にて、今年1年を振り返りてみたし。
この年末恒例企画で紹介せし号外は、2006年が8件、2007年が4件、2008年は北京五輪金メダルあまたありて18件、一昨年2009年は10件、昨年2010年は11件なりき。
今年2011年は、東日本大震災てふ1000年に一度の大惨事ありけるも、号外の数は予想外に少なくして、はつかに7件に終はんぬ。
腑に落ちぬは、全国紙、地方紙ともに、福島原発事故に関する号外の、1件も発行せざることなるぞかし。
その訳を推測するに、発生当初の情報隠蔽、その後のデータの小出し、健康被害なきことの根拠乏しき強調、なんどによるかとぞ。
されど、はたしてそれのみなるにや。
原発爆発や炉心溶融の号外配布により、首都圏での大パニック起ること必定ならむとして、新聞社自らが号外発行の抑制したることなきや。
このブログでは、今年の朝日号外を掲載するにあたり、番外として原発事故発生直後の、通常紙面の1面を併せて掲載す。
日付は、号外および通常紙面の発行されし日付なり。
3月11日 午後2時46分、三陸沖の極めて広き範囲を震源とせる巨大地震発生す。これに伴う巨大津波、東北から関東の沿岸に襲ひかかりて、未曾有の大惨事となりぬ。地震の規模は当初M8.4と発表されたるに、やがて8.8からさらに9.0と修正されて、我が国の観測史上最大なること判明したり。死者は12月現在で、宮城、岩手、福島をはじめとする12都道県にて1万5000人を越へ、いまなほ3500人以上が行方不明者のままなりけり。
次の4件は、号外にあらず、通常紙面の1面なり。
3月13日朝刊 福島原発事故は、地震発生から丸一日経過せる12日午後3時36分、1号機にて爆発音を伴ふ水素爆発の発生したる、と経済産業省の原子力安全・保安院の発表したりて、やうやう深刻さの明らかになりゆけり。政府、東電とも、すでに炉心溶融の可能性なむ認むる。
3月14日夕刊 14日午前11時ごろ、福島原発は1号機に続きて、3号機も水素爆発を起こし、事故の危機的なる状況に、国民はもとより世界が震撼す。この段階におきても、政府は「放射性物質の大量に飛散したる可能性は低し」と強調する説明ぞ、懸命に繰り返し続くる。
3月15日朝刊 福島原発は1号機、3号機の水素爆発に続き、14日には2号機の燃料棒の露出したりて空焚き状態となれり。政府は1号機、2号機、3号機ともに炉心溶融の可能性高しとして、放射性物質を高濃度に含む蒸気の、大気中への放出に踏み切る決断を下せり。
3月15日夕刊 福島原発は15日午前6時ごろに、2号機にて爆発音あり。さらに地震発生時には運転停止中の4号機も、火災の発生したりて、1号機から4号機までが制御不能となれる。放射性物質の大量飛散の恐れ現実のものとなり、東京を含む各地にて高き放射線量、観測したる。この時点にては、フクシマの事故がレベル7にて、1986年のチェルノブイリ事故と並び、世界最悪の原発事故なるとは、国民に知らさるること、つゆもなかりけるは。
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