閏2月29日、東京は雪にてモノトーンの世界なり
4年に一度のけふ2月29日、東京は昼過ぎまで雪降りて積もれり。
東京の雪なむ、しばしば大事件の背景となりける。
元禄15年(1702年)12月14日の赤穂浪士の吉良邸討ち入り。新暦にては1703年1月30日にあたるとぞ。一説に、この時の雪は、前日までに降りたるものにて、当日は降らざりけるとかや。
安政7年(1860年)3月3日、大老・井伊直弼暗殺されたる桜田門外の変。新暦にては3月24日となれり。この日は季節外れの大雪にて視界悪く、襲撃側に有利なりけるとぞ。
そして昭和11年(1936年)の青年将校によるクーデター、2.26事件。この時は3日前に降りたる大雪に、さらに当日に10センチの雪ぞ降りたる。
昭和20年(1945年)の東京大空襲は、最大なる3月10日の空襲の前、2月25日にも大規模なる空襲ありき。この時は降りしきる雪空よりB29によりて大量の焼夷弾なむ投下されたる。
東京に雪積もりぬれば、普段は色彩過剰なる大都会、一転して静謐にして厳粛なるモノトーンの世界となれり。
こはあたかも、雪を背景とせるあまたの事件を偲び、雪を血に染めて逝きたるひとびとへの鎮魂の如し。
雪の日、春を待てる色は室内にひそかに閉じこもりたるぞかし。
明日からは弥生3月。待ち遠しかりける春、すこしなりとも姿見せてくれるにや。
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