今宵の西空に、金星と木星の最接近を見ゆ
北風吹きすさぶ宵の西空に、ひときは明らけき2つの星、並びて輝けり。
光度マイナス4.3等の金星と、マイナス2.1等の木星にて、けふの夜午後7時38分、最接近とぞ。
2つの星の見かけ上の角度なむ、3度16分なる。
天体ショーとしてのヤマ場は、26日から27日にて、この2つの星に細き三日月の加はりて、宵の西空に妙なる光景を現出するらむ。
この後、金星はさらに光度増しゆきて、4月30日にマイナス4.5等と最大光度となり、目の良き向きには昼間にても肉眼にて見ゆるほどになるらし。
いま夜の帷下りてから見ゆる惑星、さらに二つあり。
南の空、しし座に赤みをおびて輝けるは火星なるぞかし。今月6日に地球に再接近したりて、いまの光度はマイナス1.2等とぞ。
そのやや離れて東より、おとめ座には光度0.4等になりたる土星の見ゆるは。
金星と木星、火星、土星を同じき一夜の夜空に見やれば、ふと物狂おしう怪しき心地ぞする。
我らがこれらの惑星を見やるにはあらず。
余はひしひしと感じたり。これらの惑星たちの、我らをしかと見つめたるを。
見守りたるや見張りたるやは知らずも、地球は確かに見られたりける。
地球に起きていることの一部始終、我らの一挙手一投足は、地球から見ゆるすべての惑星から見られたること、ゆめゆめ忘るべからずとこそ。
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