急な雷雨のあとは一転、虹のかかりぬ
けふは昼過ぎ、西から真黒き雲のにはかに広がりて、一瞬のうちに激しき雷雨となる。
稲光と雷鳴まじりて、視界遮るほどの土砂降りぞ。
されど変転も急にして、やがて雨の小止みとなれば、ひんがしの空に虹のかかりたり。
虹の両端がおぼろなるは、鬼の食ひたるに因るてふは、よく聞く話なり。
不思議なるは、虹の真下に居る者の、真上にかかれる虹を見たるてふ話を、いまだ聞きしことあらざるは、何故ならむ。
そも、虹までの距離は測れるものなりや否や。
余は昔、子どものころに、太陽を背にして霧吹きで霧を散らし、ちさき虹を作り出して興じたることありき。
虹はたしかに目に見ゆるに、いづこの位置にあるやも知らず、手にて触るること能はず。
こは、虹が実態にあらずして、現象なることに帰するかと。
虹が現象なれば、虹までの距離の測定は幻にして、虹の真下なる位置も存在せず。
同じやうに、夕焼けもまた現象にして、夕焼けまでの距離も測定すること能はずして、夕焼けの真下とおぼしき地帯の人からは夕焼けは見えぬものならむ。
ならば竜巻は実体なりや、現象なりや。
竜巻までの距離も位置も測定可能にて、それ自体の中に凶暴なるエネルギーの有すれば、こは実体にしてかつ現象ならむとこそ。
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