食パン120枚分のデザートを、昼食代はりに食す
「パンの無ければ、いかでかケーキを食せざるや」
こは、マリー・アントワネットの言葉とてあまりにも有名なるも、彼女の言葉と定むべき資料の無く、フランス革命勃発前夜に反君主制の人々により作り出されたる架空の話かとぞ。
かくかくに、食事の代用として、デザートのみを食らふは、どことなく身分相応の一線を越ゆる感ありて、踏み出すこと容易に能はず。
されど、食ひたき時に一度くらひは食らひてみむとて、某フルーツパーラーにて、清水の舞台より飛び降るる心地にて、わななくわななく注文してみたり。
主食も主菜もなくして、ケーキ、フルーツ、アイスなんどをアートのやうに盛り付けたるに、紅茶2杯分のポットの付きたる。
周りの席は、ほとど若きレディーやオバハンたちなれど、余は目もくるることなく、ひたすらにデザートを食らひ紅茶をすすれり。
いでいで、食事代はりにデザートのみ、たらふく食らふは、かくも美味にして、脳も体も快感に浸りて満ち足るるものなるや。
完食したる後は満腹なりて、これのみにて2000キロカロリーはあらむとこそ。一食としてはエネルギー過多は間違ひなし。
タンパク質や脂肪は、ケーキなんどに使用されたる卵、牛乳、バターなんどによりて十分かとぞ。
ビタミンはいかにと気になれど、フルーツ類の豊富なれば、これもさほど心配はなからむ。
デザート・紅茶付きの代金1470円は、高きや安きや。
余が普段贖ひたるパンは、8枚切り食パンの一袋98円、クーポンにて割引して93円なり。
この食パンに換算すれば15袋分、パンの枚数にして120枚分になむ相当したる。
パンに苦しむ人民をよそに、上流階級の貴婦人たちの、かやうなるデザート、毎日食して嬌じたればこそ、革命の起こること、さもありなむ、と覚ゆれ。
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