静寂は見かけ、我らみな超高速で空間移動中
かくかくも春過ぎ夏たけぬ。秋の初風吹きぬれば、けふは彼岸の中日と知る。
空を見上ぐれば、秋分の太陽の中天にかかれり。
その太陽に目を遣りて、地球から太陽までの距離を、さらに反対側に同距離だけ伸張してみむ。
汝はそこに何を見るや。
余は、その位置、その空間に、まこと半年前の春分の日の、我らが地球の姿ぞ、りんと見ゆる。
今年の3月20日、春分の日。寒さのひとしほに身に凍みて、桜のつぼみも固かりし頃なりき。
心眼を凝らして見れば、半年前に生くる我や汝の姿あり。そは愛しき日々の残照か幻影か。
地球はこの間に、太陽の周りを回る公転軌道を、猛スピードにて半周せり。
その速度たるや、時速10万7000キロてふ、とてつもなき超高速なりて、時速1000キロの飛行機の約100倍の速さとぞ。
秒速では30キロにもなり、東京-大阪間を約3分にて進む速さなり。
これごときで驚くなかれ。地球を含む太陽系全体が、我らが銀河系宇宙の回転によりて、時速80万キロてふ超高速にて、いま現在も空間移動中なるぞかし。
秒速に換算すれば220キロにて、東京-大阪間を2秒半ほどで通過するとや。
我ら、ともすれば日常の些事にまぎれ、目先のことどもに囚はれて、かくも遠大なる宇宙旅行の只中にあることに、思ひを致すことなきこそ悲しけれ。
いまひとたび、秋分の太陽に目を遣る。
その反対側に、ふと垣間見たるは、半年後の春分の日に、その位置に行くはずの地球の姿かと。
2013年3月20日の、我の姿も汝の姿も、おぼろなれど、見ゆる心地ぞしたる。
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