戦争にて生き別れたるルイーズ、バロンのもとへ
彼の名はバロン。正式名をフンベルト・フォン・ジッキンゲン男爵と云ふ。
戦争にて離れ離れとなりつる許嫁の貴婦人、ルイーズを探し続けるとぞ。
バロンの人形は、地球屋の主人にて80歳の西司朗老人が、ドイツ留学中に譲り受けたりて、バロンの悲恋のエピソードとともに中学生の月島雫に話して聞かす。
この話は、映画「耳をすませば」における最も印象深き話として、多くのファンの心をつかみ、バロンのフィギュアぞあまた作られて世に出たる。
余のもとにあるバロンのフィギュアなむ、高さ37センチと映画に登場せる人形とほぼ同じサイズにて、背広からチョッキ、ネクタイ、帽子まですべて布地にて精巧に作られたる逸品にて、限定200個てふレアものなる。
こは2年前の3.11大地震にて、棚から落下して粉々に破損され、接着剤にて復元せむとするも、いたるところに亀裂の残りたりて、元の姿には戻らざりけり。
されど、待てば海路の日和ありとやら、その後、余は奇跡的に、同じきメーカーの新品のバロンフィギュアぞ、もう一体、ゲットすることを得たる。
かくなるうへは、ルイーズのフィギュアのあらまほし、とこそ思ひ続けたれ。
これまた偶然の幸運かな、余はつひに、いともさやかなるルイーズのフィギュアのあるを見つけ、やうやうゲットしたるぞかし。
バロンとルイーズ、並べて飾りてみれば、いでいで、夢のごとし。
架空の世界における世紀の悲恋、これにてハッピーエッドかと。
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