親知らず抜きて爽快 梅雨の空
余の奥歯のそのまた奥に、歯肉の中に深く隠れたる親知らずありき。
レントゲンにてやうやう存在の確認さるるも、これまで悪さをするでなし、そのまま放置しつる。
半月ほど前、その歯肉のあたり炎症を起こしたりて、痛う腫れあがりにけり。
歯科医にてとりあへずレーザー治療による応急措置受くるも、このままにてはしばしば炎症起こして腫るること必定とぞ。
されど隠れたる親知らず抜くこと、いみじう難き業と聞く。
医師と相談の上、親知らず抜くことはせで、歯肉の一部切り取りて穴を開け、膿の出口作ることで、解決を図らむとす。
麻酔の注射、数箇所に打ち、切り開きて見れば、いでいで、親知らずはひたぶるにばい菌にまみれたりて黒々と汚れ、周りは膿の海となりたるとよ。
そを見て歯科医の曰く、こは膿の出口作るにて解決さるる状態にあらず。
麻酔の効きたるいま直ちに、抜くほかなし、と。
かくて、余は心の準備もなきまま、あれよあれよといふ間に、親知らず抜かれたり。
抜きて数時間ほど、出血あれどやがて収まり来りて、痛みも消へ去りぬ。
なまじ、事前に抜くこと告げられて不安の日々を過ぐすより、突如として抜く方針に転換さるたること、むしろ良かりけるとこそ。
案ずるより抜くが易し。
いまは梅雨空も爽快な気分なり。
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