トライアングル、その珠玉の一打ち
楽器使ひの天才と呼ばるる作曲家はあまた居れど、とどめはワーグナーにこそあらめ。
余がとりわけ感嘆するは、ニュルンベルクのマイスタージンガー前奏曲の後半、約7分前後の辺、展開部から再現部に移る瞬間なる「愛の動機」の頭に、トライアングルの涼やかなる一打ちの入るところなり。
このちさき音色は、展開部の「哄笑の動機」なんどで極みに高まれる緊迫を一瞬にして転換・解放し、聴衆に馥郁たる幸福感と愉悦をもたらすもので、祝祭気分の総仕上げに計り知れぬ効果を持つものなり。
トライアングルの一打ちの、かくも魔術的なる場面を余はほかに知らず。
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コメント
あ~。おっしゃるとおり。音楽の雰囲気が変わる大事な一音ですね。
投稿: Taka | 2017/01/12 01:24