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2019/07/04

雨のベランダに訪問者

190704c

 

降りしきる雨の中、一匹の蜻蛉飛び来たりて、ベランダの枯れ枝に停まる。

余が見遣ればやや飛びて梅雨空を一度二度旋回し、再び同じ枝に戻りたり。

網戸ひそかに開け、ケータイのカメラ向けるも、気にせずひたすら停まり続くるは。

 

この蜻蛉、声かけなば返事するや否や。試みに尋ぬれば、ちさき声にて応じけるぞよ。

「汝いかでここに来つるや」

---知らぬ。

「雨宿りかとぞ」

---違えり。雨なんどいかほどのものか。

「いま何ぞ考えおるや」

---考へごとはせず、時間を味わひつる。

「明日は如何にするらむ」

---なにをあくせく、明日をのみ思ひわずらふ。

「いまから何処に行かむとや」

---けせらせら。

 

一時間のちに見遣れば、まだ停まりたり。二時間のち三時間のちに見れば、向きを変へたるもやはり同じ枝に居るは。

四時間のち見れば、蜻蛉の姿消へて雨上がりに枯れ枝のみ残れり。

 

 

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