行春
三高寮歌「行春哀歌」
(前言葉)
われらがはなやかに美はしかりし青春の饗宴は、
かくもしづかに、またかくもあわただしげに尽きなむとす。
友よ、さらに新しき盃をもとめながら、われらともに
うすれゆく日のかげにこの哀歌を聲ひくゝ誦せむ。
静かに来たれなつかしき 友ようれひの手をとらん
くもりてひかる
われらが影をうかべたる
見よ音もなくしたゝりて にほへるしづくつきむとす
げにもえわかぬ春愁の もつれてとけぬなやみかな
君が無言のほゝゑみも 見はてぬ夢のなごりなれ
かくも静かに去りゆくか ふたつなき日のこのいのち
歌える暇もひそびそと うするゝかげのさみしさや
あゝ青春は今かゆく 暮るゝにはやき若き日の
うたげの庭の花むしろ 足音もなき「時」の舞
友よわれらが
【注】メロディーは与謝野鉄幹の「人を戀ふる歌」(妻をめとらば才たけて‥‥)と同じなり。
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