などてか惹かれる素数とリーマン予想
ちかごろ、いかなるにや、素数なることの、物狂ほしう心置けり。
そも発端は、2月1日付け朝日新聞なる綴じ込み特集ページに、未征服の最高峰「リーマン予想」の裾野を歩きてみむや、てふ記事ぞ載りたるがきっかけなる。
横書きなる記事中に、かたげなる数式のあまた並びおれるを、なにげに目をやりつれば、「自然数に関する和の無限数列の、素数に関する積の無限数列にてぞ表すこと能ふなる」と書かれたるに、くぎづけとなれり。
いでいで、こはまことなるや、と数式凝視すれば、自然数の順に並びおれる無限の+の、素数の順に並びおれる無限の×になむ、イコールにて結ばれたる。
2 3 5 7 11 13 17 19 23 29 ‥‥と、素数の無限に存在せるは証明されたりけるに、並び様はいと不規則にて、間隔も定まれる法則なきものなるに、かくなる素数の、自然数に関する和にて示さるるとは、驚きを通り越し、恐ろしくも怪しの不思議なるぞかし。
オイラーの発見せる自然数と素数の関係式の、そののちにリーマンによりてさらなる掘り下げと一般化せられたりて、「リーマン予想」なる世紀の難問ぞ提起せられたる。
こぞの年は、リーマン予想から150年目なるに、世界の天才たちあまた挑みたりけるも空しく、いまだに未解決のままなるとぞ。
余はたまたま、こぞの11月にBSハイビジョンにて放送されける「リーマン予想・天才たちの150年の闘い」てふ番組、録画したりけるが、そのまま観る機会なく放りおけり。
かつて放映されしポアンカレ予想の番組の、いみじう面白ければ、このたびのリーマン予想の番組もいかでか面白からざるにや、と思ひて先日、こを再生して観たり。
世界最高の頭脳たちの、リーマン予想に挑戦せるも果たさずして、あるものは廃人のごとくなり、あるものは精神の重き病にかかれるなど、この予想のいかに難かるにやを物語れり。
かくして余は、リーマン予想とはなんぞやの、おほまかなる概要のみにても知りたばやと思ひ、一般向けの入門書・解説書のたぐひなむ購ひ来て、読み始めたるばかりなる。
素数のあまりにも蠱惑的にして人をとらへて離さざるは、妖艶なる傾城の如し。
リーマン予想のあまりにも難解にして人を寄せつけざるは、巨怪なるモンスターの如し。
そのリーマン予想こそ、素数の根源的なる秘密の前に立ちはだかる難攻不落の守護神ならめ。
素数の真の姿、素数の正体は、この世界の構造・仕組み・真理と密接不可分なるらし。
そは、数学にとどまらず、素粒子や量子のふるまひ、さらには空間やエネルギー、はたまた宇宙とは何ぞやなる深遠にまで関わるとぞ。
かくするうちにも、リーマン予想解決の大ニュースの、世界を駆け巡ることの、あながちになきにしもあらぬを。
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