震度6弱
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去年のあの日、東京にても震度5強の揺れに、余の部屋と云ふ部屋、棚の上、棚の中の物ども、いみじう落下しまくりて、食器やグラス類、あまた割れ毀ちたりき。
それらの落下物や破損物、いつしかやうやう片付きゆきて、いまは大震災の記憶残すもの、家の中にはほとど無くなりけり。
からうじて当時の記憶留めたるは、リビングの飾り棚なるガラス細工の天使なり。
背に丸き光の輪と羽根ありて、両手にてろうそく持ちたる姿なりき。
こは、ムラーノ製のベネチアングラスとぞ。
かの日の大揺れで、飾り棚のガラス細工たち、落下するもの倒れたるものさまざまにて、天使なむ、最もすさまじう破壊されたる。
後日、接着剤にて応急の修復せむとするも、あまりに粉々にうち砕かれたれば、もはや原型だに分からず、なすすべのあらうかは。
かくて、ガラスの天使ぞ、1年前と同じ破壊されたる格好にて、飾り棚に残しつる。
3.11の記憶留むる証人として、このままの姿に置きたるこそ、天使につきづきしとこそ。
毀ちたる天使は、ガラス細工よりも脆き現代文明に、無言の警鐘鳴らし続くるにや。
見るかげもなき天使の姿なむ、東京を震度7の直下地震襲ひたる時の、我らの姿なるやも知れぬ。
こは近未来への黙示録ならずや。
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3月11日の大震災によりて、余のマンション1階の、通りに面したる外壁タイル3枚、地面に落下して粉砕し、いまだに修復のなされぬまま、半年が過ぎぬ。
上部の階なる余の家は、揺れのひたぶるに増幅しけるによりて、室内の物、いみじう落下しまくり、食器・ガラスのたぐひ、あまた破損したりけるも、外壁へのダメージは皆無なりけるものとぞ、これまで思ひ来たる。
さるを、昨日、網戸の破れやサッシ戸のパッキングなんど、まとめて修理せむとて、業者に来てもらひけるに、北側のベランダの外壁タイルの一部、剥離したりて垂れ下がりたるさまなるを、業者見つけたり。
余は一瞬、先月26日の落雷による剥離かとも思ひたるに、業者の云ふやう、剥離の状態なんどからして、こは大震災時の揺れによるものにまがふことなし、と。
あなや、北側はさほど出でてみることのなきベランダなれば、タイルの剥離も目に止むることもなく、まさに死角となりたりけるは。
とまれ、業者の持参せるシリコンによりて、剥離のタイル、とく張り直してもらひ、気付かぬまま半年の経過せる震災の爪跡なむ、やうやう復旧せるぞかし。
灯台下暗してふに、タイルの剥離も知らぬまま平然と暮らし続くることもあるなめり。
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けふは、外出して帰宅せむとするに、大粒の雨のいみじう降り始め、間一髪にて家に駆け込めり。
その直後より、激しき雷雨、東京を襲ひて、高層ビルも近隣の建物も、おぼろに霞みてほとど見えず。
雷鳴轟きて、あちこちに落ちぬる様、いと恐ろしき心地すれど、いづこに落ちたるや、定かには知らず。
さるを、夕刊の配達の、例ならず遅きに、いかで、と玄関のドア開けて見れば、いでやエレベーターの止まりたりけるは。
エレベーター管理会社に電話して聞けば、落雷によりて故障したるらしとの連絡の、マンションの管理組合よりありて、作業員の修理にむかひたるとや。
しばらくするに、屋上に作業員の昇りて、作業せむとする様子、音にて伺へるも、やがてありて、その音も止みぬ。
夜になりても、エレベーターの復旧したる様子なく、作業はいかに進みたるやも不明なる。
非常階段を降りて、1階の掲示板に、状況の説明なんど張られたるやも、と思へど、再び階段を上り戻ること、うたてしとて、情報なきまま家の中に居れり。
せめて、明日の朝刊の配達までには、復旧して動くやうにならまほし、とこそ。
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けふは大震災の発生から3箇月とて、正午のニュース見むとするに、突如として予告なき停電の発生し、テレピはじめ家中の電気すべて落ちたりけり。
あなや、こはいかなるにや、とうち驚くことしきりなり。
余の家のみのことなるや、ほかの家や店なんども停電したるやと、外に見に行かんとするに、エレベーター止まりて動かず。
電話もパソコンも、使ふこと能はずして、何の起こりたるやを知るすべなし。
ケータイのワンセグにて、正午のニュース見るも、停電のことには触るることなし。
数分ほどして、電気の復旧したるが、原因も範囲も不明なるは怪しきこと、なのめならず。
ネットの掲示板にも、「何ゆえの停電なるや」の書き込みあるを見れば、こは、かなりの地域に渡る停電とぞ覚ゆる。
けふは、大震災3箇月に合はせて、福島、新宿、フランスなど各地で、反原発の市民デモの行はれたるとや。
この停電、反原発のデモに対抗せむとする原発推進勢力による、ゲリラ的陰謀ならんや、などと邪推するも、真相のほど、不明のままなるは。
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3.11の強震にては、余の家の食器やグラス類とともに、棚の置物、飾り物、あまた落下して破損、粉砕されて、復元すること能はず、みなみな捨つるはめになりぬ。
いみじう心残りなるは、バロンのフィギュアの、余のアバターとてブログのプロフィルにも使いたりけるが、頭部の無惨にかき砕かれ、床に破片となりて散乱しつるは。
こは、ジブリの『耳をすませば』と『猫の恩返し』の両方に登場せる猫の男爵なり。
バロンのフィギュアは、これまでさまざまなる工房にて作られたるに、いずれも全体がポリエステル樹脂なんどの素材にて、サイズも10センチから15センチ程度のミニチュアなり。
余は、『耳をすませば』の中で、主人公の雫が地球屋にて最初に見たるバロン人形と、同じやうなる大きフィギュアぞ、長きに渡りて探し続けたりける。
ジブリ美術館や、オタク相手のフィギュアショップもありき回れるに、たまにあるも、ちさきフィギュアのみなり。
さるを、たまたま運のよきめぐり合はせにや、2004年のさる日、余はつひに探し求めつるバロンのフィギュア見つけたりて、この機会逃すことなくゲットするを得たりき。
高さは、映画とほぼ同じ37センチあり、背広、チョッキ、ネクタイ、帽子ぞ布地にて精巧に作られたる。
限定200体の箱入りにて、限定番号も書かれたり。
余は、砕かれたるバロン頭部の破片、細部に至るまで拾ひ集め、棚の一角にとりまとめ置きたるぞ。
震災から2箇月の経ち、ネットにてひたぶるに調ぶるに、このフィギュアの再び手に入ること、ゆめゆめなきことを改めて知れり。
そこで余は、壊れたる破片なむ接合して、バロンを蘇生させむと思ひ立てり。
無理を承知の作業にて、細やかなる破片を合はし行く道のりは、三次元ジグソーパズルにて、難航を極めたるぞかし。
破片と破片の合ふと思へば合はず。やうやう合ふ箇所、見つかれど、接着剤固まらぬうちに、外れて振り出しに戻る。
破片と接着剤とを右手に左手に、繋ぎつ外しつ格闘すること幾時ぞ、いでや、気がつけば、バロンの姿、元通りに蘇りたるは。
こは夢かとぞ。
何事もあきらめずに為すこと、これ成り難きを為すための唯一の道とこそ覚ゆれ。
かくて、元通りに成りたるバロン、何事も無かりけるやうに、ステッキを持ちて余の部屋にたたずみ居れり。
バロンの名前は、フンベルト・フォン・ジッキンゲン男爵。
戦争にて別れたる恋人の、ルイーズといふ名の貴婦人を、今日も探し続けると聞く。
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大震災の日本にて、二人のミキの、あまたの人人の心、ひたぶるに揺さぶること、ありけり。
エンドウ・ミキとアンドウ・ミキ。はつかに一文字違ふのみなりて、年も一つ違ふのみなるを。
遠藤未希さん、24歳。南三陸町の危機管理課職員なりけり。
3月11日、防災対策庁舎2階の放送室から、防災無線にて、津波の襲来と避難を、町民に声のかぎり呼びかけ続け、自身は津波にぞ巻き込まれたりける。
「もはや無理なり。もう良しとなして、上がるべし」てふ同僚の声にも、マイク離すことのなかりけるとぞ。
冷静かつ緊迫感の伝ふるこの放送によりて、からうじて高台に避難すること能ひて、命の救われたる町民はその数を知らず。
去年結婚したばかりにて、今年9月には披露宴を行なふ予定なりけるとや。
もうひとりのミキ。安藤美姫。23歳。
3月に日本で開催さるるべくフィギュア世界選手権の、大震災によりて急遽、日程を遅らせてモスクワにて開催されたるに、困難の最中なる日本を背負ひて出場したり。
「被災せる人たちのこと思ひて臨みたる」てふ安藤は、気迫あふるる演技にて、五輪金のキム・ヨナ抑へて4年ぶりの世界女王に輝けり。
優勝直後のインタビューにては、涙もなく落ち着きたるに、翌5月1日のエキシビション終へた後は、涙あふれ来たりて止まらず。
安藤の、アンコールとて演じたるは、いでいで、モーツァルトの「レクイエム」なるぞかし。
冒頭の、氷上にて倒れ臥したるポーズは、まさしく大震災の犠牲者たちへの鎮魂の思ひなるらむ。
ミキの倒れ臥したるは、一瞬、もう一人のミキと重なり合へり。
レクイエムの調べとともに、ミキは立ち上がり、不死鳥のごと、リンクを縦横に翔びて舞へり。
強きメッセージ溢るるミキの舞ひは、いつまでも日本人の心に残るらむ。
おりしも、もう一人のミキなむ、昨2日、死亡が確認されたりとニュースの伝へたる。安らかに眠りたまはんことを。
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3.11から1月半が経過するも、余震のさらさら収まる気配なければ、なにとのう落ち着かぬこと、なのめならず。
ぐらりと揺れる度ごとに、肝冷やす思ひするもわりなければ、余はPCにて列島の地震具合なむ、リアルタイムに見張れるアイテム、3通り導入して構へたる。
その1つは、列島に隙間なく張り巡らしたる地震計の、現在の測定値を色分けして視覚化し、2秒ごとに更新し続くる防災科学技術研究書の「強震モニタ」なり。
こは、常時5000人から9000人が接続したる優れものサイトにて、やうやう色の変はり広がりゆく見れば、自分の居れる地点での揺れさへも予測能ふものなり。
視聴しながら書き込まるるコメントの、リアルタイムにて流るるぞ、状況把握に大いに役立てる。
3.11の「強震モニタ」の様子、動画にて掲載さるるありて、東日本の観測地点の、一斉に真っ赤に染まりゆける様は驚きに尽きて、ひたぶるに恐ろしとぞ見ゆる。
その2つは、テレビにて流さるる緊急地震速報を、PCにて受信叶ふやうに為すフリーソフトの導入なり。
こは、「Signal Now Express」てふサイトにてライセンスを取得し、PCにインストールすれば、緊急地震速報の発令とともに自動的に、テレビにてお馴染みのチャイム鳴り響き、震源や予想震度、地震到達までの秒数などの、列島地図とともに表示さるるぞかし。
表示画面に、カエルの顔のイラストあるによりて、「カエル」の通称にて呼ばれたり。ライセンスの取得者あまたになりて、接続数の限界になりつつあるとて、新たなるライセンス発行を近く停止するやにも聞く。
その3は、「首都直下地震観測網 MeSO-net Realtime Monitor」なりて、目下のところ最大の関心事なる首都直下地震を、24時間見張り続くるリアルタイムの地震波表示サイトなり。
東京の地震研究所、茨城の歴史民俗資料館、千葉の松戸馬橋高校の3観測点の地震波なむ、同時に並列して表示し続くるのみの、静謐なるサイトなれど、いささか揺れたりと感じたる時に見れば、波形の荒立つさま、生々しかり。
もはや、いかなる規模の災害に見舞はるるも、「想定外」なるものは有り得ぬと覚悟すべし。
首都直下地震は十分に想定内にして、明日起きるやも知らぬ喫緊の危機とこそ。
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3・11を境に、吾らの文明は大きく変はりたり。
街をすずろに歩けば、いたるところに、現時点での東電管内の電力使用率、リアルタイムに表示さるるありて、節電を呼びかけつるは。
夏場のクーラー使用時には、電力使用率はいかばかりならむと、今から、うたてしこと、なのめならず。
大気中の放射線量も気にかかれり。
テレビのニュースなどにて、その日の計測値報じらるるも、なほ気にかかりたれば、ほぼリアルタイムにて、大気中の放射線量の表示さるるサイトなむありて、そを覗きて見たる。
さらなる気がかりごとは、今回の巨大地震や相次ぐ余震に刺激されて、首都直下型地震の発生する恐れの高まれるや否やてふ問題なり。
これまでも首都直下型地震は、30年以内に起る確率の70%とされたるに、いまやいつ発生しても不思議ならぬ状況とぞ。
3・11は東京にて震度5強の揺れなりけるに、直下型地震起きなば、震度6強から震度7ほどになるらむと、あまたの専門家の想定したり。
その備へは、如何にすべきやと、思案して見るも途方に暮るるばかりなるぞかし。
とまれ、ありとある無駄を省きて、その日その日を、身の丈に合はせて、ささやかに、つつましく平々凡々と生きることの叶ふこそ、有り難きこととこそ覚ゆれ。
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けふは、東京の桜の満開となりてより初の日曜日にして、好天かつ温暖、昨日の土曜日は雨がちなりけるに、新宿御苑には花見を待ち兼ねたる人人、どうと押し寄せたり。
上野公園など都内の桜の名所、おしなべて大震災による自粛呼びかけたりて、ぼんぼりもなき様なれば、花の下にての宴、繰り広ぐること能はず。
新宿御苑は、上野などの代りに宴会催すグループもぞとて、入場門や苑内のいたるところに、「アルコールの持ち込み禁止なるぞかし」との看板連ね、入場客一人一人の手荷物開けさせて、酒なんどの持ち込みのなきやう厳重なるチェックなむしたる。
厳しきアルコールチェックのなせるにや、歌舞音曲かきたてて騒ぐグループもなく、みな静やかにつつましく、花の短き盛りを粛粛と満喫せる様子なり。
被災地の人人を案じつつも、ときおり風に吹かれて花吹雪舞ふ、満開の桜の間をすずろ歩きするは、これぞ日本の原風景なるらむと感じ入れる。
かくするうちにも、大気中の放射性物質、国の基準値以下とは云へ、漂ひ漂ひて花見客に注ぎかかるらむ。
「ただちに健康への影響はあらず」とは、このところ耳にたこが出来るほど聞かされたる常套句なるに、ただちににはあらぬものの行く末には如何や、との問ひには明確なる答への返り来ることなし。
我らの放射性物質との長き長き付き合ひは、まだ始まりたるばかりにて、今後、数箇月から数年に渡る超長期戦も覚悟すべしとこそ。
月やあらぬ 春や昔の春ならぬ 我が身一つは もとの身にして 業平
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